身体の歪みが気になりだしたら当院へお気軽にどうぞ
目次
はじめに
こちらのコラムでは利き腕や利き足の多用が身体に与える影響を右手右足を例に解説したいと思います。
利き腕、利き足の偏った酷使は筋肉のアンバランスな拘縮に影響を与えるばかりか、それに伴う身体の歪みから神経痛、関節痛、側弯症、ホルモンバランスの乱れや自律神経の乱れなど様々な不調の要因になります。
現在日本人の多くが利き腕、利き足(※)、共に右となっています。併せて世の中の道具やシステムも右利きが前提で作られている物ばかりです。
※:当コラム内での利き足の定義は前へ蹴り出す力の強い側とします。
その様な状況下で多くの方が無意識に右手右足ばかりを多用している(前に出す)のが実態です。
続きましてはその具体例を挙げたいと思います。
右利き前提で作られた物やルールの一例
生活
•片開きの冷蔵庫、電子レンジの操作パネル
•定規、はさみ
•包丁、急須、缶切り
•コピー機の操作パネル、銀行ATM、PCマウスなど
スポーツ
•野球やソフトボールの走塁方向
•陸上のトラック競技の周回方向
交通関係
•鉄道の自動改札機、バスのICカード読み取り機
•自動車のアクセルとブレーキ
•自転車のスタンド(ロック部)
•自転車のハンドルに固定されている変速機など
その他
•缶飲料のプルトップ(微妙に右に寄っています)
•刺身の切り方(和食は右手包丁が基本)
•草刈り機(回転歯の向き)
•腕時計の時間調整ネジ
•機器類の主電源やスタートボタンの位置 etc..
幾つか例を挙げただけでもこれだけの数になります。はさみや缶切り、PCマウスなどはネット通販で流通こそしていますが、街のホームセンターなどでは取寄せになってしまうでしょう。
それから私自身PCのマウスは左手で使用するのですが、左利き専用のマウスも電気屋さんの店頭では見た事が有りません。殆ど需要が無いのでしょう。
またトラック競技の周回方向ですがオリンピックの第一回大会では反時計回りではなく時計回りで開催されたそうです。ところが転倒者が続出し第二回大会以降は反時計回りにした所、転倒者が大幅に減少した為、第二回大会以降は反時計回りになったとの逸話が残っています。
これは右利き足(右骨盤の方が左に比べて高くなる)の人達にとって反時計回りでトラックを周回した方が骨格的な歪みは増強されるものの身体の感覚的には楽と言った特徴が有ります。
これは猫背の人が背中を丸くしている方が(実際には身体に良くないものの)感覚的には楽と感じてしまう状態です。
右利きの人が何となくしている事
次に左でもやろうと思えば出来るかもしれないが日々の生活で大半の人が自然と右手や右足でしている事を例に挙げたいと思います。
生活
•筆記具、各種リモコン、PCのマウスを右手で操作
•シャワーヘッドを使う時はいつも右手で持つ
•靴やズボンをはく時はいつも右足から
•バスタブに入る時は右足から
•服に袖を通す時は右腕から
•左手にスマホ、右手でタッチ操作
•箸やスプーン、やかんなど調理器具を使う時は右手
•買い物で商品を手に取るのはいつも右手
交通関係
•自転車のペダルを漕ぐ時は右足から力を入れる
•車の運転で片手ハンドルをする時はいつも右手
その他
•傘を持つ時は右手
•階段を上る時は右足から
•エスカレーターは乗る時も降りる時も右足から
•しゃがんで立て膝をつく時は右足をいつも立てる(立ち上がる時はその右足に力を入れて立ち上がる)
•右足を上にして足を組む
•腕組みをすると右腕の方が前に出ている
•仰向けで寝ている時に右膝や右股関節を曲げて4の字にしてしまう
•椅子に座ってPC操作をする時に右足だけ胡座をかいてしまう
•自宅などリラックスした状態で椅子に座ってPCを操作をする際に行儀が悪いと思っていても右足だけ立て膝の状態にしてしまう
•頬杖をつく時はいつも右手 etc..
上記の習慣が長年続く事で身体に起きる事
右利きの方ですと生活の中で右腕、右脚の方が前に出る頻度が増えます。これは右肩や右骨盤が頻繁に前方に出るのと同じ事になります。その際の身体の動きを野球の右バッターを例に説明したいと思います。
ピッチャーの投げたボールに対して右バッターは身体を左方向に捻りながら打つ事になります。当然右肩、右骨盤共に前方に出て来て左肩と左骨盤は後方に引く様な形になります。
下記の画像の様に左側から後ろを振り向く動作でも同様です。
この時に右の股関節は外側に開く方向に力が作用し、左の股関節は内側に閉じる方向に力が作用します。
今回は詳細なメカニズムの説明は割愛させて頂きますが、この右股関節が外側に開く力の作用によって右の骨盤が上がり易くなり背骨は左側へ逃げる(左側弯)方向に力が作用します。(人によってはそこから更に逆S字状まで進行します)
また左の座骨や大腿骨も右の座骨や大腿骨に比べて後方にズレ易くなる為、酷い人になると座面の硬い椅子や長時間椅子に座り続ける事で「左側だけお尻が当たって痛い」などと言った状況が発生します。
太腿からふくらはぎに掛けても左の裏面の方が硬くなるので、左足の方がふくらはぎが攣ってしまうリスクも高くなります。
また右の肩甲骨は前方に変位(ズレ)し肋骨(胸郭)は後方に変位する為、右腕を背中側に回す動作が苦手になります。
右の肩甲骨が前方に変位し右の肋骨が後方に変位している方ですと画像の様に右腕が下、左腕が上の位置関係で指先を繋げる事が困難になります。
右利きの人はこちらの動作が苦手な人、もしくは出来ない人が比較的多いです。
極端に右肩が前方に変位し右肋骨が後方に変位していますと、お辞儀をした際に右の背中が極端に盛り上がりやすく、右利きの方ですと左側のイラストの様に逆S字状に背骨が歪んでいるケースが比較的多くなります。
胸の高さも左右で違いが発生する為、(右胸が凹みます)ご自身の胸郭の歪みに気付く方も少なくありません。加えてイラストの様に右胸郭は外方に膨らみ、左胸郭は少し内方に凹みます。歪みの強い右胸郭の方が肋間筋の柔軟性も失われます。
側弯症に関しては元来思春期の女性に好発するとされているのですが、近年ではスマホやPC操作、不良姿勢、その他繰り返される悪しき生活習慣も影響しているのか以前に比べて画像の様なレベルの若い女性が増えている印象を受けます。
また左の肩甲骨が前方に変位し左の肋骨が後方に変位している方ですと画像の様に左腕が下、右腕が上の位置関係で指先を繋げる事が困難になります。
また、右骨盤が上がる影響で左背面の「広背筋」と言う筋肉の柔軟性が損なわれる事でも左肩が後方から前方に押し出されてしまうので右利きの人であっても画像のポーズが取れなくなる事も有ります。
ちなみに酷い猫背で左右共に肩甲骨が前方にずれていたり、肩関節の癒着と言って肩関節の可動域そのものが極端に狭くなっている方ですと右が上であっても左が上であっても指先を繋げる事が困難になります。
こう言った人ですと首や肩、背中の凝りや痛みが出易くなるのは勿論の事、胸部や腹部が圧迫され続ける事で慢性的に呼吸も浅くなり、浅い呼吸が自律神経の乱れにも繋がる為、便秘や下痢などの胃腸の問題やパニック障害や予期不安、睡眠障害や頭痛など数多くの健康問題を呼び込む事になります。
次の項目では全身的な影響に関してもう少し深掘りをしたいと思います。
右骨盤が高い人の筋肉の凝りの傾向
利き腕、利き足が右の人の筋肉の凝りの傾向ですが当コラムの「片頭痛体験記」の解説の中の「利き腕・利き足の影響を受けやすい部位」の項目が、そのまま該当しますので、お手数ですがリンク先に飛んで頂き、該当ページをご一読下さい。
リンク先をご覧頂ければ分かるかと思いますが、右利き足、右利き腕ですと身体の前面は主に右半身が影響を受け易くなり、左の腸骨筋(そけい部)に圧痛が出やすくなるなど一部に例外的な部位も有りますが基本的には右半身の前面及び外側の筋肉が影響を受けやすくなります。
一方で背面では左半身を中心に裏面と大腿の内側部が主に影響を受けやすくなます。
但し右肩が前方にズレ易くなる関係で僧帽筋や小円筋、大円筋、棘上筋、棘下筋などは裏面の筋肉でも右側が硬くなります。
また右股関節も開く方向に誘導される為、中殿筋や梨状筋と言った股関節を開く事に関連する殿筋が凝り易くなります。
こう言った問題を解消する為に(実践編)
それではこう言った右利き足、右利き腕に伴う筋肉の凝りと、骨格的な歪みに対してどの様に対処すれば宜しいのでしょうか?
結論から申し上げると普段あまり使用していない反対側の足や手を積極的に使うと言う事です。
一例も申し上げますとメジャーリーグで活躍している大谷翔平選手やダルビッシュ有選手は本来右投げですが身体の左右のバランスを考えて試合以外のシーンでは左で投げる事も有るそうです。
実際大谷選手がサインボールを左手でスタンドに投げ入れたり、ダルビッシュ選手が左手でボールを投げるシーンなどが動画サイトなどで確認出来ます。また右手で持ったボールを前に投げるのではなく後方の壁面に向けて投げる動作をしている事が有るのですが、そう言った動作も大変有効になります。
またオリンピックのソフトボール日本代表で長年に渡り活躍して来た上野由岐子選手ですが、彼女も右投げの投手ですが食事の際は身体のバランスを考えて意図的に左手で箸を持って食事をしているそうです。
とにかく日常とは逆の動きを多用する事、それが重要だと認識して下さい。
それでは次に日々の生活で実践出来そうな習慣の一例です。比較的実践出来そうなものを例に挙げています(利き足、利き手共に右の場合)
•スイッチやボタン操作の類は左手で
•パソコンのマウス操作は左手で
•スマホは右手に持ち左手でタッチ操作
•蓋の類を開ける時は左手で
•シャワーヘッドの操作は左手で
•袋の切れ込みから開封する時は右手で袋本体を持って左手を引いて開封
•階段、エスカレーターは左足から
•ズボンや靴を履くときは左足から
•バスタブに入る際は左足から
•足踏み式のポンプを使う際は左足で
•どうしても立て膝をつかなければならない時は左足を立てて
以上の様な感じでしょうか。
ちなみに上記の内容は私自身が日常生活で心掛けている事の一例でもありますが、油断をすると右から出そうになるので、日常的に無意識の人は相当右足右手から出る形で酷使しつつ身体を歪めている事になります。
また前傾姿勢での作業が続いた時には身体を後ろに反らすストレッチをしてあげたりするなど逆の動作を意識したストレッチを積極的に行う事も重要です。
こう言った問題を解決する為には(対処編)
既に蓄積してしまった慢性的な疲労に対しては以下の様な対応方法になります。
(セルフの場合ですと一時しのぎ的な要素の強い対処方になってしまいます)
•湿布や消炎鎮痛剤の使用
•入浴(熱すぎない様に注意)
•睡眠
•セルフストレッチ
•負荷の軽い体操
•市販の低周波治療器や温灸
•マッサージチェアー
•街中のクイックマッサージやエステサロン
上記の手段は血液やリンパの流れを一時的に改善する為、一応の消炎鎮痛効果は期待出来ますが、あくまで一時的な対処療法に過ぎず、姿勢(骨格)矯正の効果は得られない点から深い呼吸や自律神経の安定にも思ったほどは貢献出来ず、疲労感が1~2日で元に戻ってしまう方も少なくないと思われます。
ではどうすれば良いのか?
結論から申し上げると、こう言った身体の歪みを整える事に長けた整体院やカイロプラクティック院の門を叩いてしまう方が早いとは思います。(先天性側弯症を除く)
例えばストレッチ一つにしてもセルフストレッチ(自動運動と言います)とプロの施療者にやってもらうストレッチ(他動運動と言います)では、筋肉の伸びる領域(範囲)が全く違うので、自動運動で他動運動と同じ感覚の領域まで筋肉をストレッチする事は出来ません。
これはセルフストレッチの場合、実際には伸びしろが残っていても脳の防衛的な判断で余力を残してストレッチを制限させられるからです。
またカイロプラクティックやオステオパシーによる骨格矯正や筋肉の調整も予め専門的な知識を持った上で物理的に骨や筋肉を操作しておりますので一般の方が見よう見まねで簡単に出来る事ではありません。経済的、時間的に許容範囲であれば是非当院にお気軽にお越し下さい。自力対応の限界を感じる事になると思います。
骨格の歪みや筋肉の調整は早ければ早いほど、若ければ若い程、施術効果も出易く改善も早いです。一方で年令を重ねれば重ねる程、身体も頑固になってしまいすし疲労も蓄積して来ますので若い人達に比べて施術自体も辛く効果が出るまで時間を要する様になります。
また高齢者になってしまうと施術に対応出来るだけの必要最低限の体力や柔軟性すら消失してしまう事も有ります。そうなってしまうと本人がいくら望んでも従来の施術は困難と言う事になってしまいます。
年齢を重ねて症状が重篤になってから慌てるよりも現段階では自覚症状が殆ど無い方でも実際に当院で施術を受けてると自身では思ってもみなかった箇所に疲労感を感じて驚く・・と言った方が多数おられる事もまた事実です。
歯科の検診と同様に日頃の身体(筋肉)のメンテナンスも開始年齢が早ければ早いほど年齢を重ねた際に何もしなかった人達とは大きな差が生じやすいです。
自覚症状の有無に関わらず自身の身体の事をよく理解する事や実際に歪みや疲労感が有る場合は定期的に身体のケアをする事で健康的な生活を末永く送る事が出来るものと思います。
関連リンク
Posted by 日本カイロプラクティックフィジシャンズ協会 清水武志