顎関節症に伴う健康問題(頭痛・歯痛・咀嚼筋の拘縮)

慢性的な不良姿勢でスマートフォンやタブレット端末、パソコンを使用する人が増えた現代、これらは「スマホ首」の別称でもお馴染みの「ストレートネック」を誘発するきっかけになり、顎関節にも負担を掛ける要因にもなります。
顎関節の問題は関節の痛みや違和感、可動制限、クリック音、食いしばり、歯痛や頭痛など数多くの問題と深く関係する事となります。また咀嚼筋(食べ物を噛む際に働く筋肉の総称)の拘縮も自ずと強くなり、その事も顎関節の変位(ズレ)に悪影響を与える要素の一つとなっています。今回はそんな顎関節のお話になります。
※今回の顎関節に関する解説ですが、一般の方に極力分かり易い様に専門的な言葉は極力排除をして解説させて頂きます。既に詳しい方には物足りない内容かもしれませんが知識の浅い方向けと言う事でご容赦下さい。
目次
顎関節とは

↑上記イラストの赤丸箇所が顎関節になります。拡大図の外耳道は所謂「耳の穴」です。
通常は食事の際の咀嚼(食べ物を噛む行為)で動いていますが、人によっては食事以外のタイミングでも日常的に顎に力を入れてしまう習慣の有る方や、野球やゴルフのミート時、重い荷物を持ち上げるタイミングなど瞬間的に力が入るケース、就寝中に無意識の内に歯ぎしりをする事で力が入っている事も有ります。
咀嚼筋と顎関節の動作

咀嚼に関わる筋肉は4つほど有ります。その中でも特に影響力が大きいのは側頭筋と咬筋になります。(画像では側頭筋が途中でカットされていますが、下顎骨まで展開しています)
これらの筋肉は上下の歯をカチカチと合わせる動作で働いています。日中は体重程度の力で噛んでいますが就寝中の歯ぎしりでは(諸説有ります)100㎏~最大1000㎏程度の力で噛んでいると言われています。

こちらは咀嚼筋の中では脇役とも言える外側翼突筋と内側翼突筋です。上下の歯を軽く合わせて前後左右にグリグリ動かす動作で働く筋肉で外側翼突筋は開口の際にも働いています。
内側翼突筋は外側翼突筋の動作をサポートをしたり下顎骨を上方に引き上げる働きが有り、双方共に口内寄りの筋肉の為、顔の表面から直接触れる事は出来ません。

こちらはオマケの情報です。
咀嚼には直接関与していませんが口を大きく開ける時に働いている4つの筋肉です。
顎二腹筋は筋・筋膜性の歯痛に於いて確認しておくべき筋肉の一つとされています。(顎二腹筋の後腹の柔軟性が失われると下顎骨の下縁付近に関連痛が出現します)

こちらは口を開閉を再現したGIF画像です。
口を開ける際に下顎骨が前方に移動するイメージが掴みやすいと思います。
黄色の部分は関節円盤と呼ばれる部分で、関節円盤が過剰に前方にズレる事により顎関節からクリック音が発生し易くなります。(次の画像で詳細を解説します)

こちらが関節円盤の位置と下顎骨の位置関係です。各々の違いに注目して下さい。
最上段:正常時
中段:クリック音が発生する人
下段:開口しにくい人
※顎関節脱臼は所謂「顎が外れた」になります。
咀嚼に関わる主な筋肉が付着している骨

ここでは咀嚼に関わる筋肉でも特に重要な側頭筋と咬筋が付着している「骨」に焦点を当てて解説させて頂きます。
まずはそれぞれの筋肉が付着している骨の名称からです。
側頭筋:下顎骨から側頭骨を結ぶ筋肉
咬筋:下顎骨から頬骨を結ぶ筋肉
(各々筋肉が収縮する際に下顎骨から上方の付着骨に向けて引き寄せられます)
次いでそれぞれの骨の特徴です。
・側頭骨:耳たぶが付着している骨で、ここが変位(ズレ)を起こすと健康上の問題だけでなく美容上の問題にも影響を与えます。
・頬骨:蝶形骨と隣接しており、筋・筋膜性歯痛(主に上の奥歯の痛みや違和感)では重要な施療ポイントになります。
・下顎骨:「顎が外れる」でお馴染みの骨。筋・筋膜性歯痛(主に下の奥歯の痛みや違和感)や顔の歪み、顎関節痛などに深く関与しています。
番外編:「蝶形骨」:咀嚼には直接関与していませんが健康を司る上で大変重要な骨になります。側頭骨と隣接し、こめかみに位置しており、蝶形骨の上には視床下部と言う自律神経の調和や女性ホルモンの分泌に深く関与する脳の器官が乗っています。
顎関節に何等かの問題が発生している時は周辺の骨や筋肉にも変位や拘縮と言った形で悪影響が出ている可能性が極めて高く、それらは日常的な噛み癖や食いしばり、不良姿勢などの習慣に影響されます。
近年増加中の顎関節の問題
顎関節の問題は噛み合わせに加えて姿勢との関係が切っても切れません。
スマホの普及と共に頭を垂れての長時間のスマホ操作が習慣化する事で次第にスマホ首(ストレートネック)になってしまい、頭蓋骨も前方に突出する事で頭蓋骨そのものの形状にも歪みが生じ、結果として首の問題と共に頭蓋骨の変位に伴う顎関節の問題が生じている方が少なくない様です。その辺りに関してもう少し深掘りしてみましょう。

本来、人間の頚椎(首の骨)はイラスト右側の様に緩やかに前側にカーブ(前弯)をしています。
ところが首を垂れてスマートフォンを操作したり頭を突き出した状態でパソコン操作をしていると次第にイラスト左側の様な前弯の消失した骨格(スマホ首・ストレートネック)に変位していきます。

頚椎の前弯が消失しストレートネックになってしまう事で、頭の重さが頚椎に乗りにくくなると同時に下顎骨も含めた頭蓋骨全体が下方に変位し易くなります。
加齢と共に若い頃に比べて顔が弛んでしまったり、シワや顔のサイズ感が気になる様になるのもこの辺りの影響も少なからず有ります。姿勢の悪い人ほど老けた印象を与えてしまうのもこの為です。
頭蓋骨の変位に伴い側頭筋や咬筋など咀嚼に於いて重要な働きをする筋肉も拘縮しますので顎関節に掛かる負担も自ずと増大します。
※イラストの矢印は皆さんがイメージし易い様に極力簡略化しています。
続きましてスマートフォン操作時の正しい姿勢と悪しき姿勢の解説になります。


上記の画像を比較して頂くと赤線が直線の物と屈曲している物に分かれていますね。客観的に見てどちらの方が首や顎に負担が掛かるか想像がつくと思いますが直線で描かれている姿勢の方が理想の姿勢と言う事になります。
横から見た際に耳、肩、大腿骨頭、膝の中心、くるぶしが一直線になるのが理想の姿勢です。




こちらは実写画像での比較です。日常生活でこの様なシーンを比較的見る機会は多いと思います。
×印付きの画像の様に姿勢を横から見た時に首が「く」の字になってしまっている状況がストレートネックを作り、それが頭蓋骨の歪みや顎関節の歪みに影響を与える事になります。
年齢的に若い人達の場合、子供の頃から携帯ゲーム機などの端末にも慣れ親しんでいる事が多い為、スマホに加えてそれらを操作して来た環境や姿勢によっても子供の頃から悪しき習慣が確立している様に感じられます。
顎関節の問題は様々な健康問題に関与
それでは実際に顎関節の問題が起きると、どの様な健康問題に発展しやすくなるのでしょうか?

まずは何と言っても顎関節症ですね。
顎関節の動作の解説でも触れましたが、下顎骨の位置や関節円盤の状況次第で口が開かない、クリック音が鳴る、顎周辺に痛みが出るなどの症状をもたらします。
また、顎関節の症状は無くても左右の顎が左右でアンバランスになっている(顔が歪んでいる)と気付けるレベルの人も少なくありません。




実は腰痛も顎関節と関連性が有る健康問題です。前傾姿勢そのものが腰に関与するのは勿論ですが、既出の解説に有る様に前傾姿勢により側頭骨(頭蓋骨)が下方に変位し、隣接する蝶形骨も変位します。
その蝶形骨から横隔膜に掛けて筋膜と呼ばれる膜組織が展開しているのですが、蝶形骨の変位が横隔膜に掛けての筋膜にも捻じれを生じさせ、その影響が横隔膜にも波及し、横隔膜と繋がりの有る大腰筋に影響を及ぼす展開になります。

心の問題も無関係ではありません。
顎関節の変位がメンタルにも影響を与えるとされる頚椎の変位を誘発したり、蝶形骨が傾く事で蝶形骨が支えている前頭葉(前頭前野)の働きにも影響が出て心の病を誘発する可能性も考えられます。
※頚椎に関しては顎関節に問題が無くても慢性化した不良姿勢により変位に至り、メンタルが病んでしまう事も有ります。

顔の歪み(左右不均等)やシワ・弛み、昔に比べて顔の大きくなったなど美容上の問題として影響を与える事も有ります。
美容上の問題の場合は側頭筋の影響力(柔軟性)が大きな鍵を握ります。
この様な習慣が顎関節に負担を掛けます
次に多くの方々が日々の生活の中で無意識にやっているであろう顎関節に負担を掛ける習慣、
似た様な動作でも色々なパターンが有りますので分かり易く複数の画像を展開してみました。
いずれも顎関節に負担を掛けますので画像を見て思い当たる節が有りましたら習慣を止めましょう。
うつ伏せ寝で下になっている側の顎が長時間圧迫






いずれも日常生活に良く有りそうな状況ですよね。
温かい飲み物や飲酒をした後に眠くなる、食後に眠くなる、慢性的な睡眠不足で日中なのに急な睡魔に襲われるなど理由は様々ですが、そんな時にふと居眠りをしてしまう方も多いでしょう。
気持ち良く眠ってしまうと傍から見ていても一見するとリラックスしている様にも見えますが、実は上記画像の様な状況は顎にも首にも負担になっています。(顎に関しては圧迫されている側に負担が掛かっています)
少し余談になりますが上記画像にも有りますがベッドでの長時間のうつ伏せ寝は胸部の筋肉を拘縮させます。
それに影響される形で悪しき姿勢に導かれ易くなるのですが、既に姿勢が悪くなっている人はそもそも仰向けで長時間寝る事(仰向け寝は本来あるべき正しい姿勢と同じ状況を作っています)が困難な為に、うつ伏せ寝の方が身体が楽と感じてしまい、そちらを好んでしまいます。その事で悪しき姿勢が慢性化してしまうのです。
片方の歯でばかり咀嚼を繰り返す




こちらは噛み癖です。
虫歯や歯周病が気になっていつも片方の歯で噛んでいる、硬いお菓子やガムなどを噛む時に無意識に決まった側の奥歯で噛んでいる・・これも問題です。
よく噛む行為自体は唾液の分泌を促し消化吸収を助け(唾液の分泌で副交感神経が優位になる)、早々に満腹中枢が刺激されることで食べ過ぎを防ぐ事が出来る上、年配の方ですと良く噛む行為は脳に対する刺激にも繋がり認知症の予防にも効果的とされています。
しかし毎回同じ側ばかりで噛んでいるとなると食べ物を噛む行為で収縮する咀嚼筋(側頭筋、咬筋、内側翼突筋、外側翼突筋)に過度な負担を掛けてしまい骨格が歪むきっかけになる恐れもあります。
特に側頭筋は顔(下顎)の歪みにも大きく影響を与えてしまう為、パッと見で顔が歪んでいるのが分かるレベルの方々は側頭筋の拘縮が強くなっている可能性が非常に高いです。
当院が提供させて頂いているフェイシャルリフトアップの施術でも側頭筋や側頭骨は調整の対象になるのですが、美容面からも健康面からも咀嚼筋の与える影響力は大変大きなものになっています。
頬杖をつく




頬杖をつきながら居眠りをしたり、考え事をしたり・・
これも日常の風景ですね。
しかしながら、この習慣も圧迫されている側の顎には特にストレスが掛かっている状態です。
加えて頬杖は猫背傾向になるので、そう言った意味でも避けるべき習慣の一つになります。
横になって長時間の映画鑑賞やスマホ操作




いわゆる「横向き寝」です。
最近は時代の変化で自宅の床が畳からフローリングに変わり、ソファーを設置している家も少なくない事と思います。
身体への負担や骨格的な歪みのリスクを考えると、柔らかい座面のソファーは長時間の使用にあまり向いていません。加えてその様なソファーに寝転んだり、肘掛けに頭を乗せたりと画像の様な恰好をする事で顎関節に加えて首にも過大な負担となっています。この様な習慣も健康面を考慮すると止めるべきです。
力を入れる瞬間に食いしばる癖がある




日常的にやりがちな、無意識の内に噛んでしまう(力む)行為ですが、こちらは片方の顎と言うより両顎に力が入ってしまう人の方が大半かと思います。
前かがみになって地面から引っこ抜いたり、重たい物を持ち上げる動作、硬い蓋を開ける瞬間や、日々の筋トレで文字通り「歯を食いしばりながら」トレーニングに励んだりと、食いしばる行為が瞬間的とは言いながら顎関節に大きな負担となっています。
頭を垂れたり頭が突出した姿勢




これも日常的に頻繁に見かける姿勢ですね。
この様な状況は片側の顎関節に直接負担を掛けると言うよりも頭部が突出した姿勢になる事で側頭筋に対するストレスが大きくなり、結果的に頭蓋骨も変位する事で左右の顎関節のアンバランスにも繋がり負担になるケースです。
特に女性の場合、側頭筋の拘縮は顔と美容との関係でもデメリットが大きくなるので、早々に「老け顔」になりたくない人は極力避けるべき習慣(姿勢)です。
顎関節の問題を起こさない為に出来ること
これまでの画像解説も踏まえて顎関節のトラブルを避けるために日常的に出来る事をリストアップしてみました。
項目自体は多くない様に思いますが、特に姿勢や噛み癖などの部分で悪しき習慣が慢性化してしまっている人が多い様に思います。
- 正しい姿勢の意識。
- 左右の顎関節のバランスを意識した咀嚼。
- 顎を意図的に圧迫する癖(頬杖、耳に手を当てての横向き寝など)を止める。
- 状況判断でマウスピースの使用。
- 整体・カイロプラクティック術など民間療法での定期的な骨格矯正。
- シャンプー時などに側頭筋(耳の真上辺り)のマッサージ。
- 耳引っ張りによる顎関節の緊張緩和。
院長自身が経験した筋・筋膜性歯痛の体験談
と言う訳で今回は顎関節に関するお話でした。
ここで本来は最後にまとめの文章を記述するつもりでいたのですが、何という偶然なのか何なのか、実は、こちらのページの編集に取り掛かるタイミングで私自身の左下奥歯が痛くなり、20年以上お世話になっている、かかりつけの歯科医院に治療に行く事にしました。今回の筋・筋膜性歯痛の体験談はここから始まります。
先生に診てもらうと私が痛みを感じている所は特に問題が無く、レントゲンを撮影するなど細かくチェックして頂きましたが虫歯も歯周病もなく特に問題無いとの事、それでも「強いて言えばこれかなぁ・・」と言う奥歯の僅かに欠損してた箇所だけ処置してもらい、しばらく様子を見る事に。

その後、当日の夜食時も翌日の食事でも温かい食べ物や飲み物、果物などが引き金で治療前と同様に痛みが出たのと(痛みが出るタイミングは瞬時だったり、時間差を置いてから突然出たりとランダム)左上の歯にも明確な痛みこそ無いものの何となく違和感が有ったり歯の表面がヒリヒリする感じもします。更には掃除などで必要に迫られて前屈みになっても歯が痛くなる展開に。
「先生は歯には問題が無いと言っていたし、そうなると咀嚼筋の問題で痛みが出ているのかも?」と思い、内側翼突筋(※注)を除く咀嚼筋を一通りチェックすると咬筋、外側翼突筋、顎二腹筋の後腹のトリガーポイントに強い圧痛が認められたため、トリガーポイント治療を自ら施したところ、歯に痛みが出る頻度が明らかに減りました。
(※注)内側翼突筋は口内からしかアプローチ出来ない為、日本の法律の関係上、内側翼突筋を緩める事が許されるのは医師免許保有者か歯科医のみとなります。
それでも歯を軽く合わせた状態で前後左右にグリグリと動かすと、引き続き上の歯に違和感が有ります。
そこで口を開けた状態で下顎骨を左右に動かすと左の顎関節にクリック音が出た為、「あぁこれか・・」と左の顎関節をカイロプラクティック(ディバーシファイドテクニック)で矯正し様子を見る事にしました。
すると翌日には歯の痛みは発生しなくなり、上の歯の違和感も無くなっていました。
その後も状態は安定しているので、結果としては咀嚼筋と顎関節の問題から歯が痛くなっていた様です。
※このページを投稿後に更に後日談が発生しましたので完全版が気になる方は当院ブログ記事の「筋・筋膜性歯痛体験談」をご覧下さい。いずれにしましても現在は過去の様な歯痛は発生しておりません。

偶然この様なページを作成している最中の出来事だったので、私にしてみたら笑い話で済む出来事だったのですが、一般の方にしてみたら「歯が痛い」となると「歯の問題」と思い込んでしまうと思うので私の様な状況に陥ってしまうと路頭に迷ってしまうのではないか?とも感じました。
実際にこの様な事も発生しますので、皆様も心の片隅に留めておいて頂ければと思います。
「歯の痛み=100%口内の問題」とは限りません。
※当院の院長はアメリカ・カイロプラクティック界の名医、Dr.グラントレイド氏より2年間に渡り直々に教授して頂いたカイロプラクティックのテクニック(ディバーシファイドテクニック)を皆様にご提供させて頂きます。
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