天気痛(気象病)

天気痛(気象病)

天気痛は自律神経の乱れ・不良姿勢・浅い呼吸などが関与

天気痛(気象病)とは

「天気痛」とは主に「気温」、「湿度」、「気圧」などの変化により二種類存在する自律神経の一方を成す交感神経と言う身体を緊張興奮状態に導く神経が過度に反応してしまったり、耳の器官(内耳)が敏感な人が低気圧の影響を受ける事で頭痛、関節痛、腹痛などと言った痛みの症状から目まい、耳鳴り、吐き気、だるさ、浮腫、冷え、不整脈、気分の落ち込みなど諸々の症状が誘発される状態です。

これらの症状は天気痛とは別の要因で発生する事も有りますが、今回は天気痛である事を前提に解説させて頂きます。

当コラムを執筆するに当り、過去に読了している「その痛みやモヤモヤは気象病が原因だった」(上本町わたなべクリニック院長 渡邊章範先生著)の内容も一部引用させて頂いております。本書は専門用語も比較的少なく一般の方でも理解し易い良書ですので天気痛を知りたい方にはお勧めです。

天気痛(気象病)の主な要因

先ほど解説させて頂いた通り、天気痛(気象病)は主に「気温」「湿度」「気圧」の変化に伴い体内の「自律神経」や「内耳」「血流やリンパの巡り」などが影響を受け、様々な健康問題に繋がる病態です。

それでは太字の重要ワードに関して詳細をご説明させて頂きます。

気温の変化

まずは気温の変化が自律神経に与える影響を解説させて頂きます。

気温に関して特に影響力が大きいのは季節の変化に伴う寒暖差です。急激な寒暖差は温度変化に身体が対応しようと躍起になる事で結果として交感神経が過度に刺激され自律神経が乱れる要因になってしまいます。これは低温から高温への変化でも高温から低温への変化でも然りです。

具体的な時期は春先、それから春から夏の変わり目、秋から冬の変わり目などが特に影響を受け易いとされます。また季節以外の寒暖差の要素としては飛行機移動に伴う出発地と到着地での寒暖差、外気温と空調の効いた屋内との寒暖差、冷凍・冷蔵倉庫での長時間作業や夏場に火を扱う仕事などでも身体に対するストレスになります。

その様にして交感神経が過度に刺激される事でアドレナリンが放出され血管が収縮、身体が緊張興奮状態になり炎症指数も上昇、また交感神経の過度な働きで呼吸も浅くなる傾向になる為、血液に乗って運ばれる酸素量も低下し、痛みに繋がります。

湿度の変化

次に湿度と自律神経の関係です。

湿度は文字通り「空気中の水分量」です。空気中に含まれる水分量(飽和水蒸気量)は温度によって変化し、温度が下がれば下がるほど水分量は減ります。

つまり同じ湿度50%でも気温10℃と気温30℃とでは後者の方が1㎥当りの水分量(飽和水蒸気量)は多いと言う事になります。

そして理想の湿度ですが一応の目安として50%と言われています。(当院の施術室にもタニタの湿度計が有りますが40%で「湿度低」70%で「湿度高」の表示がなされます)

とは言え先ほども解説した通り、気温により同じ湿度50%でも低温の方が1㎥当りの水分量は少なくなりますので寒い時期ほど50%よりも少し高めの数値(60%程度)の方が尚のこと理想的と言えます。

ちなみに低湿度での問題点として乾燥による痒み、湿疹などの肌トラブル、体内の水分も肌から外に放出されますので内耳の水分量が少なくなる事で耳鳴り、加えて血液もドロドロになりますので心筋梗塞や脳梗塞など命に関わる疾病のリスクさえも高めてしまいます。

高湿度の問題点としては血管、関節、内耳、眼などの水分量が増える為、リウマチや関節痛の悪化、痛風発作のリスクが高まります。その他にはカビが発生し易く、アレルギーや喘息などにも悪影響を与えてしまいます。

気圧の変化

次は気圧の変化と自律神経の関係をお話したいと思います。

気圧の変化は天気痛(気象病)のイメージと結び付く方が多いのではないかと思います。登山や台風の接近、雨の降る前、飛行機の利用などで起きる関節痛や頭痛、腰痛、目まい、身体が怠さや浮腫、冷えなどが一般的でしょうか。

なぜ低気圧の影響で体調が悪くなってしまうのでしょうか?要因は複数有ります。

まず周辺の気圧が低下する事で体内での圧力は相対的に高まります。すると血液中の水分が血管から外に滲み出てしまい外側の細胞に移行する事で浮腫の症状を感じ易くなります。

身体が浮腫む事で血管と筋肉との間でのやり取りをしている栄養分の供給や老廃物の回収もスムーズに行われなくなり、発痛物質(ヒスタミン、ブラジキニン、プロスタグランジンなど)が溜ってしまう事が要因の一つです。

次に低気圧の影響を受ける事で体内ではアドレナリン(興奮ホルモン)が大量に血中に放出されます。アドレナリンは交感神経の高ぶりを全身の器官に伝える働きが有る為、結果として脳は興奮状態になり血圧も心拍数も上昇傾向に転じます。そして交感神経が活発になる事で知覚神経(痛みや感覚を伝える神経)も過敏になる為、痛みを強く感じる様になってしまいます。これが二つ目です。

三つ目は交感神経の高ぶりが続く事で浅い呼吸が繰り返される上に低気圧の影響で酸素濃度も低くなりますので自ずと血液中の酸素量が減少し、更には交感神経の働きで血管も収縮し血流やリンパ液の巡りも悪くなります。その事も天気痛(気象病)に大きく影響を与えます。

ここで一つ、気圧の変化が分かり易い動画をご紹介致します。

台風(低気圧)の接近に伴うポテトチップスの袋の変化を記録した動画です。スナック菓子などの密閉された袋も台風(低気圧)の接近に伴い平地であっても僅かながら膨張します。

↓動画はこちら

如何でしたでしょうか?これと同様の事が低気圧の影響を受ける形で人間の体内に於いても起っています。

自律神経の影響

先ほどの解説にも有りました様に自律神経は気温や気圧の変化と深い関係に有ります。

気象的な影響により交感神経の働きが過度になり、緊張した筋肉に影響される形で周辺の血管や神経が圧迫され血流が悪くなるばかりか、神経の働きにも影響が出て関連する様々な健康問題に発展します。

また自律神経は気象的な要因に加え、不規則な生活、肉体的精神的ストレス、腸内環境の悪化、不良姿勢、浅い呼吸などの影響でも次第に乱れていきます。

気圧の変化に伴う内耳の影響

ラットを使用した過去の実験結果から人間に於いても耳の器官(内耳)が敏感な人は低気圧の影響を受け易く、気圧が下がれば下がるほど身体の痛みも増す事が分かっています。またそれらの症状に対して酔い止め薬を服用する事で症状が緩和する事も分かっています。

これは酔い止め薬に内耳神経の一つである前庭神経を調節する成分が含まれいる事で気圧の変化に伴う身体の敏感な反応が抑えている為です。また内耳の循環を良くする「目まい薬」や「消炎鎮痛剤(痛み止め)」でも気圧の変化に伴う体調不良に対して効果的とされています。

骨格的な歪みの影響

慢性的に続く不良姿勢も天気痛に影響を与える可能性が有ります。

前項で紹介した内耳の働きに関与している内耳神経ですが、内耳神経の走行は脳幹後頭骨~側頭骨に至り側頭骨に有る内耳孔と言う小さな穴から頭蓋内に入り、耳の働きに関与する蝸牛神経と平衡感覚に関与する前庭神経に分かれます。

側頭骨は猫背やストレートネックの影響で変位し易いばかりか、食べ物の咀嚼に関わる重要な筋肉が付着している事から噛み癖や噛み合わせ、就寝中の食いしばり、顎や頬を圧迫した状態で長時間寝てしまうなどの繰返しも影響します。

また側頭骨には「内耳孔」に加え「茎乳突孔」と言う穴も開いています。顔面神経は内耳神経と共に内耳孔から側頭骨内に入り、顔面神経のみが「茎乳突孔」から再び顔面表層に戻り顔の筋肉を動かしたり味覚を伝える働きをします。

側頭骨は下方(足下の方向)に変位し易く、隣接している蝶形骨や後頭骨も側頭骨に引っ張られる形で変位し易くなります。

蝶形骨の上には視床下部と言う自律神経の中枢や女性ホルモンの分泌に深く関与する器官が乗っている為、蝶形骨の変位がこれらの働きにも悪影響を及ぼす可能性が有ります。

また側頭骨や後頭骨の変位は周辺の重要な動脈や神経の経路に悪影響を与える為、後頭部や側頭部、こめかみ周辺や頚の側面などの凝りや痛み、痺れなどを誘発し易くなります。

更には蝶形骨の変位により蝶形骨から横隔膜に掛けて展開している筋膜(膜組織)も影響を受け、横隔膜の柔軟性が無くなる事で浅い呼吸を繰り返す様になり、胸郭の柔軟性が失われ浅い呼吸の影響で交感神経も過度に刺激され腹部全体の筋肉の凝りにも影響を及ぼします。(そう言った方は「お臍」や「みぞおち」などを指先で押すと強い圧痛を感じる事になります)但し過去に民間療法を受けた経験の有る人でも、お腹の施術を受けた事の有る方は非常に少ない事に加え、そもそも「自身のお腹の凝りに気付いていない方が殆ど」と言うのが実態です。

後頭骨、側頭骨、蝶形骨、顎関節、いずれも不良姿勢の影響で骨格的な歪みや周辺の筋肉に過度な緊張(凝り)が起き易く、不良姿勢が慢性化していますと皆様が気付いていないだけで大半の方が大なり小なり何らかの問題を抱えています。

天気痛に対する整体・カイロでのアプローチ

当院では天気痛(気象病)の症状でお悩みの方々に関しては、腹部施術での自律神経の調整に加え頭蓋骨も含めた骨格的な歪みの修整で更に自律神経を整えております。(施術の細かな内容は個々の症状や歪みの現状により多少の個人差が発生します)

今回は頭蓋骨に焦点を当てて特に重要な骨の特徴を取り上げさせて頂きます。一部既出の解説文との重複が有りますがご了承下さい。

頭蓋骨は本来、頭上から見た際に鶏の卵の様な形状をしているのが理想なのですが、不良姿勢による影響が強くなってしまうとピンポン球の様な球状に歪んで来ます。

当院の施術で頭蓋骨矯正を行うケースで実際に矯正操作をする骨は主に以下の通りです。(症状や選択されたコース時間により多少の差異が生じる場合も有ります)

①側頭骨

「耳たぶ周辺に位置している骨」とイメージして頂くと宜しいかと思います。

不良姿勢や生活習慣、噛み合わせ、噛み癖などの影響で主に下方(足下の方向)に変位し易くなります。「寝違い」の症状を引き起こす事でお馴染みの胸鎖乳突筋は胸骨、鎖骨、側頭骨、後頭骨に付着しており、側頭骨は同筋の柔軟性が消失する事で影響を受けます。

首や肩の凝りが強い方、頭痛、目まい、耳鳴り、腕の痺れ、自律神経の乱れに関連する症状、婦人科系の症状をお持ちの方、何となく呼吸が浅く息苦しいと感じる方などは高い確率で胸鎖乳突筋の拘縮と共に側頭骨の変位が強くなっている可能性が高いです。

また美容面でも影響力が大きい骨で側頭骨の変位により、同骨に付着している側頭筋も影響を受け、顔の肥大化(弛み)、ほうれい線、口角が下がるなどの形で表面化します。

蝶形骨

側頭骨と隣接している骨で「こめかみ」周辺の骨とイメージして頂くと分かり易いかと思います。蝶形骨の上には視床下部と言う脳の器官が乗っており、視床下部は自律神経の調整や女性ホルモン分泌の司令塔となっていますが、不良姿勢などにより蝶形骨の歪みが生じると自律神経失調症や婦人病全般などで身体の不調となって現れる可能性が有ります。

自律神経と深い関係にある天気痛(気象病)に於いては頭蓋骨の中では特に鍵を握る骨となります。

後頭骨

こちらも側頭骨と隣接している骨で文字通り後頭部の骨です。慢性的な猫背ですと常に後頭部周辺にストレスが掛かり続ける為、後頭部周辺の重要な動脈(後頭動脈)や神経(大後頭神経・小後頭神経)などに悪影響を与えてしまいます。後頭部周辺が圧迫される様な頭痛(緊張性頭痛)に悩んでいる方は後頭骨周辺の筋肉の拘縮が強くなっています。

前頭骨

蝶形骨の上に位置している骨で「額の骨」とイメージして頂くと宜しいかと思います。下方(足下方向)に変位し易い骨の為、顔面に影響が出易く、額や眼の周辺のシワ、弛み、眼の大きさなどに影響を与えます。

頭頂骨

側頭骨の上部に位置する骨で「つむじの場所」をイメージして頂くと宜しいかと思います。こちらも前頭骨同様、下方(足下)に変位し易く、側頭骨と併せて「顔の歪み」に大きく影響を与える骨とされています。

上顎骨

上顎に該当する骨で、上の歯や上唇周辺の骨とイメージして頂くと分かり易いかと思います。(但し実際は縦方向にも長い骨なので鼻骨や頭頂骨とも隣接しています)

余談になりますが、かき氷など冷たい物を食べた時に頭(こめかみ)がキーンとしたり、酷い虫歯で上の歯に痛みを感じている場合は上顎骨に展開している上顎神経が反応しています。

下顎骨

下顎に該当する骨で文字通り顎関節に関与しているので「顎が外れる」「顎関節症」などでお馴染みの骨になります。

下顎骨は側頭筋が付着している骨なので不良姿勢による側頭骨の変位の影響をまともに受けてしまいます。また食べ物の咀嚼にも重要な役割を果たしている骨です。(口を開ける時の筋肉も口を閉じる時の筋肉も付着しています)

下顎骨の直下にはリンパ節が沢山有るので(オトガイリンパ節、扁桃リンパ節、顎下リンパ節、耳下腺リンパ節など)顎下付近に老廃物が蓄積している人は下顎骨の直下を指先でグリグリ揉むだけで想像以上の痛みを感じると同時に老廃物が流れる心地良さで「痛いけれど眠い」と言った混沌とした状況に陥り易くなります。

鼻骨

文字通り鼻の所に位置する骨です。蝶形骨との関係性も深いとされ蝶形骨の変位の影響を受ける形で鼻骨も変位を起こし、鼻詰まりや慢性副鼻腔炎(蓄膿症)を誘発するとされています。

最後に

頭蓋骨の矯正はその心地良さから男女問わず殆どの方が施術中に眠ってしまいます。裏返せばそれだけ多くの方の交感神経が慢性的に高ぶっているものと思われます。整体やカイロプラクティックは骨を矯正方向に操作するのが本来あるべき姿です。

ところが整体やカイロプラクティックの看板を掲げておきながら実際には同業者でさえもマッサージと一体何が違うのか、思わず首を傾げてしまう様なサービスを提供する業者さんも少なく有りません。

当院ではマッサージ店やリラグゼーション系の店舗では決して得られない技術(矯正術)をご提供させて頂きます。

天気痛や自律神経失調症、頭痛、パニック障害などでお悩みの方は、お気軽に関内駅・日本大通り駅より徒歩圏の当店にお気軽にお越し下さい。

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Posted by 日本カイロプラクティックフィジシャンズ協会 清水武志

口コミ紹介メインの整体・カイロプラクティック院「リリースセラピー」橫浜関内